
<評価>
★★★☆☆
<感想>
田中角栄は貧しい農家の出から建築士・実業家を経て国会議員となった。これまでのボンボン議員や世襲議員と異なり、たたき上げで鍛えたビジネス経験と、野心、狡猾さで総理大臣まで上り詰めた。その過程では多少不正なお金を使って選挙の組織票を集めるなどの実力行使に出て自身の影響力を増していった。
この本の中で好きなエピソードは、大蔵大臣時代に当時の大蔵省の官僚から真っ向から立ち向かい、反対を押し切って公共事業投資などを認めるように進めた点である。これまでの通例では2名の部長の派閥に進めば出世できていたが、その部長を容赦なく人事異動で飛ばし改革のやる気がある者を取り入れた。今の政治家も財務省の官僚にハイハイ聞かずに自分の意思を断行してほしいと思った。
しかし、攻めの過程は目を見張るものではあるが、実際に総理大臣に上り詰め石油ショックやロッキード事件に対峙するときは非常にもろく呆気ない裏切りにあった。人生終盤は酒におぼれ体調も崩し人生のはかなさを感じた。田中角栄のように人生終盤に失速する姿は、もし自分自身がそうであると寂しい思いにもなる。
